2023年秋田巡礼 ゴミス神父による霊的講話3 不思議のメダイ

不思議のメダイの聖母のご出現は、“マリア様の時代が到来した”ことを示している。【聖母がお与えくださった4つの準秘跡】
その3)不思議のメダイ——聖母の徽章(きしょう)——
2023年5月5日(金) 秋田巡礼 霊的講話
聖ピオ十世会司祭:ゴミス神父様
同時通訳 聖ピオ十世会司祭:小野田神父様
親愛なる巡礼者の皆さん、わたしたちは、準秘跡について毎日お話をしています。わたしたちの個人的な聖化のために与えられた準秘跡、そして聖なる信仰を皆に広めて多くの人々を天国に導くために使われる準秘跡、いろいろな準秘跡があります。最初にわたしたちがみたのは、最も大切な準秘跡、「ロザリオ」の祈りです。わたしたちに与えられた霊的な武器です。これを持って悪魔と戦い、多くの聖徳を勝ち取ることができます。
次に、わたしたちは、マリア様がくださったわたしたちの服についてみました。マリア様は善いお母様ですので、わたしたちを保護するために、悪魔の誘惑や攻撃・試練から守ってくださるために服をくださいました。それが「スカプラリオ」です。
では、今日は、マリア様のバッジ——マリア様の徽章(きしょう)についてお話ししたいと思います。“マリア様のものである”ということの印ですけれども、これが「不思議のメダイ」です。ここにいらっしゃる方は皆、不思議のメダイを身につけておられると思います。ほぼ皆さんが、無原罪の聖母の騎士の会員であるかもしれません。
聖母の騎士の重要なアクションの一つに、不思議のメダイを皆に伝える、ということがあります。ですから今日は、不思議のメダイが、いったいどのように始まったのか、なんでこれほど大切なのか、意味はなんなのか、なぜマリア様は、天は、これほどの力をこの小さなメダイに与えたのか、そして最後にこのメダイで起こされたとても不思議な奇跡の数々をご紹介したいと思います。
【歴史】
では、まず歴史についてお話しします。マリア様を見たのはシスター・カタリナ・ラブレで、1830年パリでのことでした。カタリナ・ラブレはフランス人で、まだ幼い9歳の頃、お母様を亡くしました。しかし、その亡くしたその時からマリア様を自分のお母さんとして選び、そしてずっとマリア様を本当のお母様として慕い愛していました。
こんなことが伝えられています。自分の母親の葬儀が終わり家に帰ったところ、父親は娘を探し、「どこにいったのか。」と言うのですけれども見つかりません。ようやく見つけると…ある部屋にマリア様の御像があってその背の高いマリア様の御像にカタリナが椅子に登って抱きついていた…お父さんはそれを目撃しました。
それ以来、肉身のお母さんが亡くなって以来、カタリナにとっては、マリア様だけが本当の唯一の母親でした。これを見ると、なぜマリア様が聖カタリナ・ラブレを自分の本当の愛すべき子として特別に選んだか、ということがわかります。
そして1830年に、カタリナは、聖ビンセンシオ・ア・パウロの創立した愛徳姉妹会に入会し、修練者となります。そして修練期を迎える間、聖カタリナ・ラブレは、何度もマリア様のご出現を受けています。最初は、1830年7月18日と19日、聖ビンセンシオ・ア・パウロの祝日のことでした。次には、9月にもご出現がありました。その次には一番有名なご出現で、11月27日のことでした。その次に12月にもご出現があり、最後には、翌年1831年の3月にご出現を受けています。
【御出現】
私は、今から11月27日の一番大切なご出現についてお話しします。
11月27日のヴィジョンの最初の段階は、このような感じでした。愛徳姉妹会のチャペルで、第一待降節の前夜の午後5時半で、シスターたちは黙想をしていました。そして、係のあるシスターが書簡側にいて、黙想のポイントの本を読んでいきました。そして、そのうちに沈黙がありました。すると、シスター・カタリナに、何かシルクの服の擦れるような音が聞こえました。そしてそちらを見ると、聖ヨゼフ様の御像の高さのところに、マリア様がお現われになっておられました。そして、マリア様は球の上に立っておられて、足は緑色の蛇を踏み砕いていました。真っ白な服を着ておられて、目は上を向けておられました。とても美しいお顔で、そして、手には球体を持っていて、その上には十字架が立っていました。それは地球の象徴でした。そしてあまりにも美しいマリア様のお姿を見ると、シスター・カタリナは脱魂状態になりました。すると、マリア様からの声が聴こえてきました
“これに従って御像をつくりなさい。そして御像を祭壇の上に置きなさい。”
それから、手からは光線が出ていました。そして、光線は四方八方に広がっているのですけれども、
“その光線は御恵みを表わしている。”
という声が聴こえました。しかし、一部光線が出ていないところがあって、
“それは人々が、御恵みを求めるのを忘れてしまったので、御恵みが与えられていないことを意味しています。” という声が聴こえました。
第二の場面が続きます。光に包まれて輝かれているマリア様をご覧になっていると、マリア様は非常に優しく御手に持っている球体を天主の方にお捧げします。すると、この球体は――地球ですが――消えてしまいます。そして、マリア様は視線をカタリナの方に向けて、手をカタリナの方に向けます。そして、御自分が乗っていた球体の方に手を回して向けます。するとそこには、“フランス”という文字が書かれていました。
同時にマリア様はシスターに、
“この球体は全世界を意味している、そして、フランスも意味している、そして、すべての人々を意味している。”
ということを理解させました。
光線はすべてのお恵み・マリア様からのお恵みのシンボルであって、そして祈りをすることを知っている人々に与えられる、ということでした。
この時に、卵のようなかたちのものがマリア様の周りに現われました。そしてすぐに、右から左の方に、マリア様の頭にかけて次の言葉が出てきました。
“ああ、原罪なくして宿り給いし聖マリア、御身に依り頼み奉る我等のために祈り給え。”
と、銀の文字で書かれていました。次に、この声がきこえました。カタリナの胸に響きました。
“このモデルに従ってメダイを作りなさい。これを首にかけている人々、信頼をもって首にかけている人々すべては、そして、敬虔にこの祈りを祈る人は、天主の御母からの特別の保護を受ける、そして偉大な御恵みを受けるでしょう。”
次に、第三は、そのメダイの後ろ側でした。その瞬間、マリア様は御自分の後ろを見せて、そして、メダイの後ろがどのようなものであるかを示しました。そこには、マリア様の名前の文字が書かれていて、“M”という文字が書かれていました。そのMの上には十字架があり、十字架には足がついていました。横棒がついていました。Mの下には、二つの御心があって、イエズス様とマリア様の御心、一つには茨の冠、もう一つには剣が刺されていました。そして、この文字の周りには十二の星がついていて、そして消えました。
ではこのヴィジョンの神学的な説明を試みます。ここには非常に豊かな深いものがあります。それを理解すると、主はなぜこのメダイを広めてこれを使おうとしているかがよく分かります。
まずこの第一の段階を見ると、マリア様が地球を手に持っておられるということは、マリア様が天と地の元后である、ということを意味しています。マリア様が支配されておられる、女王様である、ということです。
そして、マリア様が不思議のメダイの表と裏をお見せになりながら、御自分がイエズス様とともに人類を贖った共贖者であると同時に、そしてその勝ち取った御恵みを皆に分配する聖寵の仲介者である、ということもわかります。なぜかというと、たとえば裏を見ると、マリア様と十字架とは一体化していて、そして二つの御心があって、イエズス様と一致して、マリア様は、御自分の苦しみを献げて特別なやり方で贖いに協力した、イエズス様とともに、私たちの救いのために必要な御恵みを勝ち取って功徳を得た、ということがわかります。これが、共贖者ということです。
そしてご自分がイエズス様とともに勝ち取った御恵みをすべての人に与える、これはたとえば、手から光線が出て御恵みがすべての人々に流れ出ている、ということからもわかります。
【重要性】
では、なぜ不思議のメダイがそれほど重要なんでしょうか? これは、聖グリニョン・ド・モンフォールが言っています。
“時の終わりには、マリア様の時代が来る。” と。イエズス様は――もちろんマリア様はいつも大切ですけれども――時の終わりには特にマリア様には特別な地位を占めることを望まれる、と。マリア様には、時の終わりに特別の使命(ミッション)があって、教会において、私たちの救いにおいて、マリア様を通さなければ私たちは救われることができない、イエズス様にいくことができないということを明らかに示す時が来る、と。その時には、偉大なマリアの使徒たちが現われて、聖母を通してイエズス様の聖心に対する信心を広めるだろう、と預言しています。
そして、近代のいろいろなマリア様のご出現、有名な偉大な様々なご出現がありますが、その最初を飾るのが、この不思議のメダイのご出現でした。これは何を意味するかというと、時は来た、マリア様の時代は今到来した、マリア様こそが私たちの元后である・女王様であるということを宣言する時が来た、イエズス様にいくためにはマリア様にどうしてもいかなければならない、マリア様を通さなければ私たちは永遠の救いを勝ち取ることができない、その時が来たという印が与えられた、ということです。
ですから、この印が本物であるということを示すために、証拠づけるために、この不思議なメダイには、特別の力が与えられています。
【天主からのものとする証拠】
このメダイが本物であるということを、最初から、主は証拠を与えました。これが公式に認められるには、2年かかりました。最初にもちろん、修練者であったカタリナは、霊的指導者であるアラデル神父様にそのことを報告しました。ところが、霊的指導者は、あんまり信じようとせずに乗り気ではなくて、なるべくカタリナを、それを抑えようとしました。けれども、しかし、よく知れば知るほど、話を聞けば聞くほど、これはまさに天主からのものであると、確信せざるを得ませんでした。
そこで2年の後に、最初は、少数のメダイを作ってパリにおいて配布しました。1832年のことでした。ところで、その頃当時、パリではコレラという非常に恐ろしい伝染病・疫病が流行っていました。このコレラは、その当時、非常に恐ろしいもので治療薬がなく、それにかかってしまうと数時間のうちに身体から水分が全部出てしまって死んでしまいます。致命的な病気で、非常に感染力の強いものでした。多くの何千何万という方が、コレラで亡くなりました。
そのような時に、不思議のメダイを配ったのですけれども、不思議のメダイをもらった人はすべて、もらうと途端にコレラが治ったのです、与えられると治った、もらうと治った、治った、治った……治癒が立て続けに起こったので、この「不思議のメダイ」という名前が付けられたほどでした。これが、不思議のメダイの最初でした。
【ラティスボーンの改心】
では、有名な不思議のメダイでの奇跡のお話をします。これはアルフォンソ・ラティスボーンの改心の話です。1814年に非常に金持ちの裕福なユダヤ人の家に生まれたラティスボーンは、親戚のおじさんの銀行で働いていました。非常に裕福な方でした。
ところで、自分のお兄さんがカトリックに改心して、しかも、ついには司祭になったので、弟であるアルフォンソは、それに耐えることができませんでした。そこで、お兄さんに対する憎しみ、家族のすべてのメンバーの中で、特にお兄さんに対して非常な憎しみを覚えて、「お兄さんは自分のことをすべて赦してくれたけれども、自分はありとあらゆることをして迫害した。」と告白しています。お兄さんに対する憎しみから、すべてのカトリックに対する憎しみ、カトリック教会に対する憎しみを持ち、そして、すべての宗教に対する憎悪を持っていました。ですからすべて宗教などを拒否して、この世的な世俗の利益の追求だけを考えていました。
ラティスボーンは、ユダヤ教の信仰さえも捨てて、すべてを捨てて天主に対して反抗し、すべてを憎んでいました。しかし、心の中は空虚でした。そこで、あまりにも虚ろで空っぽな心を満たそうと、結婚を考えました。自分の姪っこと結婚することにしますが、その姪御は、あまりにも年が若かったので、結婚することは延期されました。
そこで、婚約はしたものの結婚はできないということで、結婚の時を待つ間、なんの目的もなく旅に出ることにしました。最初に、ナポリに行って数か月過ぎました。次に、マルタ島に行こうとして船に乗るんですけれども、乗った船が間違ってしまってマルタに行く代わりにローマに着いてしまいました。
ローマに着いて、なんとか時を潰すのですけれども、そこに旧友が住んでいることを知っていたので、彼と会いました。それはテオドール・ド・ビュシエールという人で 彼はカトリックに改心した人で、ラティスボーンのお兄さんのこともよく知っていました。そして、お兄さんのことを憎んでいることもよく知っていました。
しかし、その友人はいろいろな知識を持っていたので、その博学のためにおもしろいので話を聴いて会話をしました。また彼の話がおもしろいので二回目にも会いに行くと、今度はカトリックに関する熱い議論・論争が始まりました。そこで、ビュシエールは、彼に賭けを持ちかけるのです。
「僕は、君には、このちっちゃなこと・単純なことができないと思う。いやできない。この小さな不思議のメダイを、いつも身につけることができるかな? こんなくだらないことと思うでしょう。それで、それから毎晩寝る前に、聖母の御保護に依りすがるという聖ベルナルドが作った祈りがあるんだけれども、それを唱えることができるかな? いやできないな、いやできないと思う。できないほうに賭けるよ。」と、挑戦しました。
そのような挑戦を受けて最初は「私ね、カトリックのものは受け付けないんだ。」と言うと「ああ、やっぱりできないんだ。」とまた挑戦されたので、ラティスボーンはプライドが傷ついたんです。それで「それならやるよ、それを付けて祈ってみる。そうしたら、カトリックなんて、それのしていることがまったく馬鹿馬鹿しいことがよくわかるから。なんの効果もない。やるよ、やる。」と言って、それをすることを約束しました。
そして数日が経ってある日、そのテオドール・ド・ビュシエールという友人と一緒にローマを散策していて、サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会に行くことになりました。まさかその時に、ラティスボーンの人生ががらりと変わってしまうとは、彼は思ってもいませんでした。
そしてビュシエールと一緒にラティスボーンは、教会を散策し教会の中をいろいろと見て回ったんですけれども、マリア様の祭壇のところに来ると、祭壇が光で輝いていたんです。すると、いきなりマリア様のお姿が現われました。それはちょうど、不思議のメダイのマリア様とまったく同じ姿が現われて、そしてそれを数秒間見ました。そしてその時に、彼は全く人生を変えてしまいました。マリア様を見たのみならず、カトリックの信仰のすべての玄義を注入されたので、カトリックの教えを、信仰をすべて知ってしまいました。涙を流して、ラティスボーンは言うのです。
「ビュシエール——俺は、カトリックだ……。」
すると、ビュシエールは
「お前、なにか悪い冗談で言ってるんじゃないの?」
「いや、本当だ。カトリックの信仰のすべてを知っている!」
そして、ビュシエールは、最初は信じることができなかったんですけれども、奇跡が起こったということを知りました。
そしてその後、ラティスボーンを教会へ連れて行きます。
「俺は、洗礼を受けたい。」
教会に連れて行くと、まさかと皆は思ったんですけれども、しかし質問をすると、すべて正確に答えることができて、確かに言う通りだ、奇跡が起こった、ということで、洗礼を受けます。
そのラティスボーンのお兄さんも、最初は信じることができませんでした。あれまで、あそこまでカトリック教会を憎んでいて、教会を迫害して、自分を憎んでいた者が、なぜこうなったのか——?
そしてついには、ラティスボーンはカトリックになりたいのみならず、司祭になりたい、お兄さんと同じように司祭になりたい、と司祭になりました。そして、お兄さんと一緒に、ユダヤ人たちの改心のために捧げられた、特別の修道会を設立しました。
ラティスボーンのこの劇的な改心は、マキシミリアノ・コルベ神父様の「無原罪の聖母の騎士会」を創立するためのインスピレーションになりました。
【ゴミス神父様の実例】
まだたくさんたくさんこの話があるのですが、残念ながら時間が足りません。しかし、私に起こったことを一つ話します。
私は、アルゼンチンのコルドバというところにいました。アルゼンチンのコルドバでは、ある日、終油の秘蹟に呼ばれました。病院に行って、そして、カトリックの国なので司祭はよくあることですけれども、一般病棟にいる人には、同じ部屋にいるすべての人に「終油の秘跡はどうですか?」とか「告解の秘跡はどうですか?」ということを、聞いて回ることになっています。普通は、だいたいカトリックの人がほとんどなので、「神父様、お願いします。」と言われる時があります。この時も、一人の人を見たのみならず、いろんな方をも見て回りました。
するとある時、元気で、終油の秘蹟を必要としていないような人がベッドにいました。非常に愛想が良かったのですが、終油の秘跡を受けるにはあまりにも元気なので、「では、告解はどうですか?」と言ったら、「告解は、要らない」と。「告解が要らないなら、不思議のメダイはいかがですか?」と聞くと、「不思議のメダイならもらいたい。」と言うんです。「それは害がないし、プレゼントをもらった方がいいのでください。」と。「でも告解はダメだ。」と。
それで、不思議のメダイは与えて、そして次のベッドに行くんですけれども、次のベッドの人にいろいろお話しをすると、一緒に来た侍者の子どもが、「神父様、さっきの人が、神父様とお話しをしたいと言っています。」
なんだなんだと行ってみると、「やっぱり告解をする。」と。「告解を聴いてほしい。」と、とても善い告解をしました。それで、不思議のメダイを与えたほんの直後のことだったんですけれども、こうやって改心ができたということを、私は目撃しました。
【不思議のメダイを使うことの意味】
では、この不思議のメダイを身につけている、そして、この不思議のメダイを使うことの意味はなんでしょうか?
それは、私たちが信仰を宣言する、ということです。信仰を告白する、ということです。そして、マリア様が持っている力を信じる、ということです。マリア様が、この世界に対してどのような力を持っているか、私たちの人生に、どのような力を持っているかということを信じる、ということの告白なのです。
なぜかというと、イエズス様がこれを通して奇跡を行なうということをお望みだ、求めている、それを欲している、それをされたいと思っている、ということを私たちが信じているからです。
ですから、この小さなメダイは、ものすごい力があって、非常に簡単ですけれども力があるものだ、ということを、私たちは確信しなければいけません。それが、私たちの持っている信仰です。これはマリア様のバッジであって、徽章であって、そして皆さんの多くの人々の心に植える、マリア様が元后である、ということの種です。
ですから、どうぞこれを使ってください。
