カトリック教会は人間の生命の真理を教えて守る

ソース: FSSPX Japan

2026年7月20日  証聖者聖イエロニモ・エミリアニ

トマス 小野田圭志神父 説教  日本の聖なる殉教者聖堂(大宮)

聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。

愛する兄弟姉妹の皆様、

今日は聖イエロニモ・エミリアニ(1486-1537)の祝日を祝っています。この聖人は、ヴェネツィア出身の軍人で、信仰には熱心とは言えませんでしたが、前線で戦っているうちに捕虜となりました。投獄されている間、多くの祈りと黙想をすることを少しずつ学び、牢から逃れるとヴェネツィアに戻りました。そして甥っ子の教育の世話をして、自らも神学校に入学しました。司祭になると、当時、北イタリアを襲った疫病と飢饉の犠牲者の世話を、自分の財産を使って行いました。そしてついには、全財産を使って孤児たちと青少年の教育のために一生を捧げる決心を立て、それを実行しました。孤児院は三つ、そして回心した身を売る女性の方々のための施設を一つ、さらに病院を一つ建てました。1537年には、病人を看病しているうちに病気がうつり、感染して亡くなりました。200年後、1767年に列聖されました。1928年には、ピオ十一世教皇様によって、孤児と捨てられた子供たちの守護の聖人と定められました。

今日の午後4時からマーチフォーライフ東京が行われますが、捨てられた子供たちの保護者である聖イエロニモの祝日にこれが行われるのは、まさに天主の御摂理です。

堕胎によって、生まれる前に捨てられようとする赤ちゃんたちの命を守るために、私たちも今日、全世界的な運動であるマーチフォーライフに参加しようとしています。

【人間の生命】

私たちは、カトリック教会の生ける一部としてマーチフォーライフに参加しますが、カトリック教会は、人間の生命の起源(始まり)と究極の目的について本当のことを知っています。人間だけは、他の動物や植物とは違い、全宇宙の創造主の似姿と肖像によせて、天主によって、つくられました。人間だけは、他の動物や植物と違い、天使たちのように、創造主の永遠の至福の栄光を受けるためにつくられました。すべての人間は、永遠の命を受けるためにこの地上へ生まれてきます。人間の生命は、受精の最初の瞬間から始まります。人間の生命は、天主だけがその絶対の主です。ですから、この世における人間の生命は、神聖で誰もそれを犯すことができません。どんなに小さくても、たとえ肉眼では見えなかったとしても、人間のかたちをしていなかったとしても、たった細胞一つだけだったとしても、受精の瞬間から人間として存在しています。受精卵は、最初の瞬間から人間として守られ、保護されなければなりません。この真理をカトリック教会は強く訴え、教え続けています。

【カトリック教会】

「カトリック教会には、中絶(堕胎)というものは、絶対に完全に拒否されなければならないという真理をはっきりと証しする義務があります。目的が手段を正当化するということはありえません。」

そして、私たちは今日、この義務を証ししようとしてマーチフォーライフに参加します。そのような私たちを、イエズス様はどのように思うでしょうか? イエズス様は、小さな弱々しい私たちをご自分自身であるとお考えです。

「まことにまことに私はあなたたちに言う、これらの最も小さな兄弟たちの一人にあなたたちがしたことは、私にしたのである。」

つまり、小さな胎児、まだ肉眼では見えないような赤ちゃん、受精卵を守るためにしたことはイエズス様にしたことだと、私たちはそのことを後に感謝されることでしょう。聖ヨハネは言っています。「愛する者よ、世があなたたちをにくんでも驚くな。私たちが死から命にうつったのは、兄弟を愛するからであって、愛さない人は死の中にとどまっていることを、私たちは知っている。兄弟をにくむ者は人殺しであって、人殺しはその中に永遠の命をとどめていない。」

【堕胎の統計】

私たちは、今まで見たこともない最悪の大虐殺の中で生きています。世界中で、日本で、何百万人もの赤ちゃんが母親の胎内で虐殺されています。堕胎と言う隠された大虐殺は、中絶産業、生物医学研究、胎児技術を通じて日々続いています。どんなに良い目的のためであても、罪のない赤ちゃんたちを殺害することはできません。

日本では、統計によると2020年に145340人の赤ちゃんの命が奪われました。これは一日あたり398人の赤ちゃんの殺害です。

日本では、19492020年の71年間に、39252446人の胎児が堕胎されました。第二次世界大戦の時に、日本人死者は、310万人(軍人・軍属が230万人、民間人が80万人)ですから、第二次世界大戦の日本人死者の12倍の子供たちが亡くなっています。1945年の広島と長崎の犠牲者の数よりも多くの人が毎年殺されています。今の日本では、ウクライナやイランよりもひどい戦争が行われています。

日々、犠牲者の赤ちゃんが増え続けています。赤ちゃんは、どのような子供でも、主から与えられた宝の命です。日本の宝です。日本の未来です。日本の希望です。日本の愛です。

お母さんのおなかにいる赤ちゃんたちは、どんなに小さくても立派な人間です。

体は小さくても偉大なかけがえのない命です。

赤ちゃんには罪がありません。

無抵抗で無防備の赤ちゃんたちの命を、私たちは受け入れ愛し守らなければなりません。

【堕胎の恐ろしさ】

堕胎とは、たった一回でも、その特殊性から非常に重大な犯罪です。

1/ 何故なら、無防備な、自分で自分を守ることができない人間を殺害するからです。あたかも、権力者や強者が弱者に対して何でもしてよいかのようにふるまっているからです。弱いからといって、私たちが弱い者を自分の思うように取り扱うことはできません。守ってあげなければなりません。

2/ 何故なら、中絶とは罪のない人間の命を奪うので、非常に重大な犯罪です。誰も罪のない人を処刑する権利はありません。守る義務があります。

3/ 何故なら、中絶は非常に残酷な殺害方法で行われるので、極めて重大な犯罪です。頭を粉々にくずしたり、体を切り刻んだり、もしも赤ちゃんに対して日常的に行われているこの行為を普通の大人に行ったとしたら、最も恐ろしい犯罪とみなされるでしょう。

4/ 何故なら、堕胎は、命を守る義務がある医師や看護師によって行われているので、非常に重大な犯罪です。また、自分の子供を守り、愛する義務のある親によって同意され、行われているため、非常に重大な犯罪です。

お母さんのおなかにいる赤ちゃんたちは、どんなに小さくても立派な人間です。かけがえのない命です。この罪のない無抵抗で無防備の赤ちゃんたちの命を、私たちが愛すること・守ることを主はお望みです。

【人工授精による不妊治療】

堕胎は、別の形でも行われています。人工授精による不妊治療では、多くの受精した小さな人間たちが凍結されてついには廃棄されています。

避妊薬も隠れた堕胎です。受精卵を胎盤に着床させないようにさせる避妊薬は、堕胎のくすりです。

人口妊娠中絶・堕胎・避妊は死の文化の一部です。死はあらゆる方面から私たちの人間社会に入り込んできます。

【レイプ】

レイプは犯罪です。しかし「レイプによる妊娠」という中絶の理由の1%にすぎない例外的理由は、あらゆる中絶を正当化するための方便として使われています。

レイプという暴力による傷は、堕胎というさらなる暴力によって癒すことはできません。

死刑になるべきは何故レイプの犯人です。赤ちゃんたちではありません。

勇気をもって「いのち」を選び母となって感謝しているお母さんたちがたくさんおられます。

中絶という暴力に訴えることを拒んで、多くのお母さんたちは幸せになっています。

私たちが必要とするのは、癒しであって、堕胎へと煽り立てる宣伝文句ではありません。

教会の教えによると、天から復讐を呼び起こす重大な罪が四つあります。旧約時代から、このような罪を犯すことによって天主が天罰を下さずにはおかれない重大な罪です。

第一に「罪のない人の殺人」です。まさに堕胎がそうではないでしょうか?

第二は「自然に反する罪」です。これは非常に分かりにくい表現かもしれませんけれども、男性と男性、あるいは女性と女性が、自然に反する罪を犯すということです。これは天から復讐を呼び起こす重大な罪です。ソドマとゴモラはこのために滅ぼされました。

第三に「正当な賃金を払わないこと」です。そのような社会は長く続きません。天主からの天罰を受けざるをえません。

最後に「やもめや孤児など、弱い者を圧迫すること」です。これも天からの罰を受けます。

そのような社会は長く続きません。そして、堕胎はまさに天からの怒りと復讐を呼び求める罪そのものですので、私たちはどうしても、その天罰を逃れるために償いを行わなければなりません。特に今年は、ワリエ神父様のご希望によって、このマーチフォーライフを罪の償いのためにもお捧げいたしましょう。多くのお母さんたち、あるいはその中絶には、一つひとつの悲しい物語があります。歴史があります。またその一つひとつには、忘れられない涙と傷が、心と体への傷が残っています。そしてそのような傷のみならず、天主に対する屈辱(侮辱)もあります。天主の似姿である人間を、罪のない、しかも無防備な人間を残酷にも破壊した、しかも愛すべき、保護すべき人々によって破壊された。その罪の償いをも行いたいと思っています。今日、とても良い天気に恵まれて、私たちは非常に暑い中を歩かなければならないかもしれません。私たちのこの祈りと犠牲を、償いの精神でお捧げいたしましょう。

【聖母マリアさまと】

堕胎産業は、罪のない子供たちへの戦争です。私たちは子供を防衛する義務があります。反撃する必要があります。私たちの戦いは、何よりもまず、罪に対する戦いです。嘘と、死の文化に対抗する戦いです。

1917年に聖母マリアさまはポルトガルのファチマと言うところに現れてこう言われました。

「世界の平和と戦争の終結を得るために、ロザリオの聖母を称えて毎日ロザリオを祈り続けてください。」「聖母だけがあなた方を救うことができるからです。」

私たちは聖母マリアさまと一緒にいのちの行進をします。何故なら、勝利への鍵はここにあるからです。

聖母マリアさまと共に、私たちは死に対する生命の、闇に対する光の勝利に向かって歩いています。

天主の母であり、私たちの霊的な母である聖母は、この死の文化を「いのちの文化」と「愛の文化」に変えてくださることができます。

1917年、ファチマの聖母は「最後に私の汚れなき御心は凱旋するでしょう」と私たちに約束されました。

聖母は死の文化を死に至らしめてくださいます。命の文化に命を与えてくださいます。ファチマの聖母は私たちにこう言われました。"世界の平和と戦争の終結を得るために、ロザリオの聖母を称えて毎日ロザリオを祈り続けてください。" "聖母だけがあなた方を救うことができるからです。"

【命のための行進】

皆様を「いのちのための行進」にお招きいたします。聖母と共に、祈りで結ばれ、私たちは死に対する生命の、闇に対する光の勝利に向かって歩きましょう。命の文化は、いま大きな動きとなっています。すべての人にこの良い知らせを届けましょう。

マリア様は、私たちの霊的なお母様です。

マリア様は、死の文化を「いのちの文化」と「愛の文化」に変えることができます。

聖母は死の文化を死に至らしめてくださいます。命の文化に命を与えてくださいます。

ファチマの聖母は私たちにこう言われました。

"世界の平和と戦争の終結を得るために、ロザリオの聖母を称えて毎日ロザリオを祈り続けてください。

"聖母だけがあなた方を救うことができるからです。"

マリア様の御取り次ぎで、聖イエロニモの御取り次ぎで、多くの方々が聖寵に動かされ、命の大切さに気付いてくださいますように。もしかしたらその中には、これから堕胎を考えている人が、お母さんがいらっしゃるかもしれませんが、その方がそれをやめようと思う、あるいは過去そのようなことをしたことがある方も、それを悔い改めて、償おうと思う決心を立ててくださいますように。

これは「いのちのための行進」です。

命の文化は、いま、世界中で大きな動きとなっています。

すべての人にこの良い知らせを届けましょう。

そして、罪のない子どもたちが、日本のそして世界中の子どもたちが守られますように。平和な日本が、世界がやってきますように。そのために、このミサとマーチフォーライフをお捧げしいたしましょう。

聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。