ローズ・フー(胡美玉)著「苦しみの中の喜び」(Joy in Suffering)
苦しみの中の喜び(Joy in Suffering)
苦しみの中の喜び(Joy in Suffering)
ローズ・フー(胡美玉)は、中国の上海生まれで、中共のカトリック教会迫害のもとで投獄されました。有名な上海の大司教であったイグナチオ・クン枢機卿様とは牢獄での「獄友」でした。毛沢東の下で、1955年から1981年までの26年間を強制収容所で費やした後、1989年にアメリカに渡りました。
約10年間、自分の教区で新しいミサに与ったあと、聖伝ミサに出会いました。だれかが、手による聖体拝領は悪いと教えたのです。彼女は聖ピオ十世会と出会いました。聖ピオ十世会において彼女は自分が投獄されていたその理由――聖伝のミサと信仰――を発見したのです。
彼女は聖ピオ十世会の第三会員となり、こう言いました。「共産党の監獄における26年間は、聖ピオ十世会の会員となるための最もすばらしい準備期間だったでした。私にとって最高の修練期間でした」と。
彼女の本「苦しみの中の喜び」は、彼女のとても簡潔な、とても美しい話が書かれています。彼女は16才のときにカトリックの洗礼を受けました。彼女は逮捕されたとき20才でした。レジオ・マリエの会員であったために逮捕されました。レジオ・マリエのすべてが毛沢東によって監視されていました。
中国のレジオ・マリエの話は普通では考えられないことです。アントニオ・リベリ大司教(Antonio Riberi, 1897-1967)は、第二次世界大戦後、1946年に駐中国教皇大使(Apostolic Internuncio)として任命され、中華民国政府と国交を樹立し、南京に公使館を開設しました。教皇大使となったリベリ大司教は、すでに共産革命が来ることを感じていました。(実際に毛沢東は1949年に政権を手にし、リベリ大司教は1951年に中華人民共和国政府によって国外追放されました。)
リベリ教皇大使はコロンバン会のマクガラス神父(Father Aedan McGrath)に中国全土でレジオ・マリエを設立することを命じます。何故なら「カトリック信者は、司祭なしに信仰を守らなければならなくなるから」だと。こうして1948年にレジオ・マリエは中国に導入されました。神父は中国中を駆け巡り2年以内におよそ2千もの祈りのグループをつくり、カトリック信者の信仰をそこで守り、多くの人が殉教の準備をしました。
ローズ・フーは、上海の震旦(しんたん)女子文理学院の学生でした。この学校出身の多くの若い少女が後に拷問にあいましたが、多くが固く信仰を守りました。この本は、彼女の当時の霊的指導者マクグラス神父(2000年帰天)への従順によって彼女が書いた証言集です。
この本から、ひとつの例を引用しましょう。この本の中にはたくさんの逸話があります。第二十九章 卵の話です。
1961年に白湖農場にいた間、ローズはマラリアにかかりました。約18日間、43度の高熱がありました。医師は全く農場にいませんでした。当局は少しの薬も供給しませんでした。 運よく、ローズの囚人仲間の一人が、自分の家族から送られてきた薬をローズに与えました。奇跡的にローズは回復しました。
労働改造所の規則は、いったん熱が下がったら、患者は次の日に作業に戻らなければならないと決めていました。そこで翌朝、ローズは、震える身体でかごを運びながら、綿花を集めるためにテレサと外に出ました。途中、ローズたちはニワトリ小屋のそばを通りました。突然、卵が角の所にあるのを見ました。テレサはローズにささやきました。「見て。天主様がどれほどあなたを愛していらっしゃるかを。あなたは病気から回復したばかりです。今、天主様はあなたを強くするために、卵を与えて下さいます。」
テレサは慎重に卵を拾ってエプロンに入れました。ローズたちが晩に小屋に戻ったとき、テレサは言いました。「あなたは台所に行って、そこの女の人にこの卵をあなたのために茹でるよう頼みなさい。でも、あなたは慎重でなければなりません。もし、改造所の看守が見つけたら、あなたを罰するでしょう」
ローズはこっそり何かを食べることに慣れていませんでしたので、卵を食べたくはありませんでした。「誰にも気付かれずに卵を食べるのは簡単だけど、殻はどうればいいの?」とローズはテレサに言いました。
「いいわ、あなたよりはるかに弱い修道女にそれをあげて。彼女はより賢く、殻をどうすればいいか知っているでしょう。」
ところが、その修道女は、一人では卵を食べないと言い張りました。「李シスターにあげて下さい。彼女は、より多くの栄養を必要としています。」
このように、卵は次から次へと5人か6人に渡されましたが、誰も自分たちでそれを進んで食べようとは思っていませんでした。 聖母の御誕生日である9月8日が近づいていました。また、9月8日はローズたちの逮捕の記念日です。誰かが、卵を割り、水に入れて茹でるべきだと提案しました。
結局、ローズたち15人のカトリック信者が皆、その特別な祝日の日に、1さじの卵とじスープを飲みました。1さじの卵とじスープは何も意味もなしませんでした。しかしそれは、ローズたちがどれほどお互いを愛し、世話をしたかを示しました。
ローズは、あの一さじの卵とじスープを決して忘れません。苦しみの最中に永遠に続く友情が育まれたことを、ずっと覚えていることでしょう。
本書は聖ピオ十世会の聖堂で入手可能です。
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