結婚というのはいったい何なのか? 結婚の目的とはいったい何なのか?

ソース: FSSPX Japan

2024年9月21日(土)結婚式のお説教

トマス小野田圭志神父

ポールさん、マリアさん、ご家族と友人の皆様、
今日はお二人の結婚式を執行する名誉をいただきました。その式の始まる前に、結婚の意義についてお話ししたいと思います。

【問題提起】
結婚というのはいったい何なのでしょうか? 結婚の目的とはいったい何なのでしょうか?

【日本】
日本財団は今年の4月3日に、国や社会に対する意識をテーマにした18歳の意識調査の結果を公表しました。これはインターネットで見ることができます。
調査対象は、日本とアメリカとイギリス・中国・韓国・インドの6カ国の18歳の、正確にいうと17〜19歳の青年たちの1000人を対象にして、回答を求めたとのことです。
その調査のなかで、自分自身について聞くと、日本では「自分のしていることには、目的や意味がある」という項目で「はい」と答えた人は最下位でした。一番下だったとなりました。他の国々とは10ポイント以上の差がつきました。
また「人生において大切にしたいと思っていること」について聞いてみると、日本以外の全ての国々では「家族が大切だ」と答えたのですけれども、日本で最も多かったのは「自身の好きなこととやりたいこと・趣味 52.5%」ということで、半分以上がそうでした。
また「自分の国の将来」について聞くと「良くなる」と答えたのが、中国では85%、インドでは78.3%、(韓国で41.4%)。日本で「自分の国が良くなる」と答えたのは15.3%、最下位でした。

これを見ると、統計によると日本では、青年たちが自分の生きている目的・意味が分からないで、なんの目的もわからず、ただ自分の好きなことやりたいことをやっていればよいんだ、これが自分で最も大切なんだ、としています。家族・自分の国などについては、関心ももてずに希望ももてません。
その結果何が起こっているかというと、これは別の統計ですが、いまから7年前の2017年では、紙おむつの販売数が、「子供のための紙おむつ」の数と「大人のための紙おむつ」とで同数になっているとのことです。これはいったい何を意味しているのでしょうか?
これこそ私たちがいま結婚とは何かということを、考えるについて、考えなければならないことだと思っています。

【自然を観察する】
大自然を見ると、結婚ということが何かということが大体わかります。なぜかというと、人間は「理性的な動物」として、子孫の繁栄のために結婚するからです。そして、自然の非常に神秘的な摂理によると、どんなに災害や戦争があったとしても、不思議なことに男性と女性の比率はほぼぴったり同じなんです。何があっても同じです。大自然はわたしたちに何を教えているかというと、結婚というのは一人の男性と一人の女性が、子供の出産と教育のために生涯にわたって一つの家庭を築くということを約束することだということです。そしてこの為にこの目的のために子供の出産と教育のために、夫婦は生涯にわたって常に同居して愛し合うことが必要だと教えています。

【カトリック教会の結婚観】
【一人の男と一人の女】
ではカトリック教会はいったい何を教えているのでしょうか。教会も全くその通りだと、いいます。結婚というのは、一人の男性と一人の女性がこの世界が創造された時から、創られた時から、つまり、アダムとエワの時代から、そうだったといいます。この世界が創られたその最初から、「結婚が…」という制度が、この全宇宙を創った方によって制定されて、そしてその絆が祝福されました。聖書によると、創世記にはこうあります。「だからこそ、男は父母を離れて、女とともになり、二人は一体となる」(創世記2:24)。

‟アダムとエワなんていうのはちょっと神話ではないか″と思われるかもしれません。実は‟わたしたちは両親から均等に半分ずつ遺伝子をもらっている″ということはよく知られています。でもこの細胞の中には、母親からしか遺伝しないという特別なものもあります。それはミトコンドリアDNA(mtDNA)と言われています。それで、このミトコンドリアの遺伝子をよく見ると、母親のものからの遺伝子しか受け継がれていません。実は、1980年代にアメリカの研究チームが人類のルーツはどこにあるのかということを調べて、無作為に抽出した世界各地の人々のミトコンドリアを調べてみると、たった人1人の女性に辿り着くことが分かっています。この研究チームはこのたった一人の女性のことをミトコンドリア・イブと呼んだのですが、もちろんそれに対して、それを認めたくない研究者たちは、その後40年にわたっていろいろな調査をしました。しかし研究の結果は、どうしても人類のすべてのそれ(ミトコンドリア)は一人の女性にたどり着くということがわかっています。

【こども:主要な目的】
わたしが申し上げたいのは何かというと、カトリック教会は、結婚というのは一人の男性と一人の女性がそのそもそもの最初から、最初の男と最初の女の時から、結婚という制度が祝福されてあって、そして、聖なる家庭の中で子供を持つという主要な目的のために結婚という制度がつくられたと教えています。

ですから子どもたちというのは結婚が持っている三つの良いものの善のうちの最初のものです。良い子供を持つということは、両親にとって最大のそして最上の報いでもあります。子どもに命を与えるだけでは十分ではなくて、子どもにとても良い教育を与えなければなりません。最高の教育を与えなければなりません。知性や体という自然のレベルにとどまらずに霊的な命を伝達すること…いったい人間は何のために生きているのか、どうしたら聖なるよい生活を送ることができるのか…ということを伝えなければなりません。超自然の命のことを伝えなければなりません。特に、愛徳そして貞潔について、子どもたちに教えてあげる義務があります。良い子どもたちは両親の最大の報いですけれども、それには両親たちの努力が必要です!

【忠実:不可解消性】
では教会は、子どものために、「結婚がある」それだけを教えているのでしょうか。そうではありません。この結婚の目的を達成するために、一人の男性と一人の女性は約束して、つまり「契約」を結んで、一生涯にわたってこの目的を達成するために協力しあうということをしなければならないと教えています。

なぜかというと、子どもたちは長~い間、できるだけ長い間、両親を必要としているからです。なぜかというと人間というのは、本能によって導かれるのではなくて、知性によって自分の将来を決定しなければならないからです。そのために人間は自分の生活のためだけでなくて、家族のために責任を持つ段階に至るまで、いろいろなことを学ばなければなりません。そのためにはたくさんの時間がかかります。ですから子どもたちは両親から多くのものを学ばなければなりません。そして一緒に何年も育たなければなりません。育ったのちにも両親の良い模範を見なければなりません。子供が成長して結婚したのちにも、お父さんとお母さんが仲よく生活するのを見るのは、どれほど子どもたちにとって喜びであり、よい模範であるでしょうか。

ですから教会は、自然の摂理に従って、一生涯にわたって、二人は同居して、そして互いに忠実に愛し合わなければならないと教えています。イエズス・キリストはこう断言します。「人は天主が合わせたものを離してはならぬ」(マテオ19:6)。言いかえると、婚姻というのは、生涯にわたって続き、決して取り消すことができない、解消することができない、ということです。たとえ内閣総理大臣であっても、最高裁裁判所長官であっても、これを取り消すことはできません。

【秘跡】
では教会はそれだけなのでしょうか。教えているのはそれだけなのでしょうか。たしかにこれは美しい理想ですが、しかし現実には多くの困難が伴っています。教会は、そしてイエズス・キリストは、この理想をよく果たすことができるように、特別の手段を与えました。それが秘跡です。結婚を、秘跡という超自然のレベルにまで高めました。

人間はいったいなんのためにこの世に生きているのでしょうか?それは、永遠の幸福のためです。この世での人生の何十年かが終わったのちには永遠の命が待っている、と教えます。永遠の命というのは、この世を創った創造主とわたしたちが永遠に結び合わされるということです。

実は、教会は、結婚というのは、この将来の永遠の結びつき――天主とわたしたちの霊魂とが一つとなるという結びつきを表す「影法師」だ、イメージだ、そしてイラストレーションであるばかりかそれに到達させるための手段でもある、と教えています。

ここからはイエズス・キリストの話になります。

イエズス・キリストは、わたしたちの罪の償いのために全く罪がないにもかかわらず、まことの創造主・三位一体の第二のペルソナであったにもかかわらず、人間となって、しかも、罪がなかったにもかかわらず十字架につけられて、わたしたちの身代わりになり、そして死を迎えました。

イエズス・キリストが十字架というベッドで寝台の上で死の眠りについた時、そのわき腹をローマの兵士が確かに死んでいるかどうかを確かめるためにわき腹を槍で貫きます。すると、そのやりで貫かれた脇からは心臓からは血と水が流れました。これを目撃した人がそのことを記録しています。ちょうど眠ったアダムの脇からエワが創られたように、死の眠りについたキリストの脇から、水と血が出た。水というのは教会の入り口である洗礼のこと、血というのは教会の中心である御聖体のことだ、と教会は教えています。つまりキリストのわき腹からキリストの教会が生まれた。そしてキリストの教会とキリストは一つの神秘的な結婚を行った、と教えています。

そこで、教会が教えている第三の善・良いことは、秘跡です。つまり、一人の男性と一人の女性の結合が、キリストと教会の結合を表しているということです。キリストとキリストの教会との一致は永遠に続くように、この二人の結婚も永遠に続かなければならないといいます。そして、どのように夫婦が愛し合わなければならないかということを教えています。本当の愛とは何かを教えています。

聖パウロはこう言います。「キリストが教会を愛して、そのために命を与えたように、夫も妻のために命を与えなければならない。」また聖パウロは言葉を続けて、「教会がキリストのために愛して奉仕するように、妻も夫を愛して奉仕しなければならない。」といいます。

では、これから行われる二人のこの結婚が実り豊かになりますように、マリアさまにお祈りいたしましょう。