第十一話「司教団体主義の何が問題なのか?」
聖ピオ十世会について:第十一話「司教団体主義の何が問題なのか?」
第二バチカン公会議中になされた多くの論争の中で、最も重要なものの一つ、そして今なおその論争が続いている一つは、司教団体主義についてです。つまり、司教たちが教会を導き教える際、司教たちの団体としての役割は何か、という問題です。そのことをこの動画で説明します。
カトリックの教えと近代主義とは、まったく異なったやり方で真理とは何かということを理解しています。カトリックの教えは、天主の客観的な現実が優先することを擁護します。近代主義は、個人の意見という主観的な表明を重要視します。真理についての異なる定義は、教会がどのように統治されるべきかについて、二つの対立する視点をも生み出しました。
カトリックの教えは、天主が秩序立っている宇宙を創造したこと、被造の万物の上に天主が最高の権威をお持ちであることを教えています。同様に、イエズス・キリストは天主のペルソナをお持ちなので、天主こそがご自分の唯一の教会をうち立てたこと、この教会の最高位のかしらとして、ペトロとその後継者たちとを任命したことを教えています。聖伝に従い、聖ペトロの後継者たち、つまり教皇たちは、教会におけるすべての役務の上に、直接の、仲介を挟まない裁治権を行使してきました。道徳、教義、規律の事柄において、教皇の発言は、キリストからの直接の権威で語るとき、それは決定的なものとなります。同様に司教たちも、他の使徒たちの後継者として、天主から権能を受け、各自の司教区において最高の宗教的権威を行使します。ただし教皇による特別な介入にのみ服従します。
さて近代主義による団体主義の概念は、自由と個人の権利とを間違って理解することから生じています。そして、今述べた明確な位階的構造を脅かしています。それによると、厳格な民主主義的プロセスが、常に教会を支配すべきだと主張します。ですから、教皇は発言するのは自由ですが、枢機卿たちや司教たちは、自分の意見を述べることが常に許されなければならないともされます。同様に、司教は、自分の司教区においては、自分のすべての司祭たちに相談し、かれらの意見を尊重しなければならない、また、小教区の主任司祭は、同じように、小教区のすべての信者たちに相談しなければならない、とされます。
近代主義によれば、これこそが、全ての人々の不可侵の個人的権利と自由とが守られる唯一の方法だと言います。ですから、すべての人々は、それが教皇であってさえも、意見を交換し妥協することを学ばなければならないとされるのです。このように議論と話し合いをあまりにも重要視することで、天主がご自分の教会のために意図した位階的な性格はひどく曖昧となってしまい、さらには、教会の指導者たちの行動を不必要に妨げてしまいます。
「教会憲章 Lumen Gentium」は、司教団が、教皇とともに、教会内で最高の権能を行使すると述べ、司教団体主義という新しい概念を導入しました。これが意味することは、教会内の統治の民主化であり、教皇が枢機卿、司教、平信者の上に持っている教皇のパーソナル的な権威、教皇その人が一人で持っている権威の破壊です。
その結果、例えば、司教評議会は、他の会員の司教たちを権威主義的なやり方で縛るような決定を下し、司教たちの役割を座長、司会、あるいは単なる委員に還元しています。しかし、司教たちは、本来なら自分の司教区では最高の権威をもっており、教皇だけが特別なやり方で介入することができるだけです。司教評議会には、会員の司教らを縛る法的な根拠はまったくありません。小教区の評議会においても同様です。主任司祭は、会議の司会に還元されています。
確かに、教皇や司教は互いに相談しあうべきですし、配下の司祭たち、またそれにふさわしい時には信者たちの意見を聞くべきです。しかし、必ずそうしなければならないわけではありません。ただいろいろな人々が光を共に持ちより、権威にある人々がよい決断を下すことができるように助けるためだけにそうするのです。さらに、教会はその長い歴史の中で非常に多くの公会議を招集しましたが、教皇たちが第一にこれらの公会議を指導しました。また司教一人一人は、それぞれの司教区において、その後の決定を実施する直接の責任を持っていたのです。
司教団体主義は、教皇と司教たちがもっている、パーソナル的な権威の破壊、天主の権威の破壊です。
この問題に関して、さらに理解を深めるために、「2012年の講話オーディオCD:教皇制度について 2012 Conference Audio: The Papacy」を聞くことをお勧めします。英語です。アンジェルス・プレスで入手できます。
もう一つお勧めの素晴らしい資料は、ルフェーブル大司教著「異端に反駁する Against the Heresies」です。これも英語で、アンジェルス・プレスで入手可能です。